« 青葉電気工業発電所跡探訪 | Main | 仙臺伝統裸参り保存会撮影記2012② »

February 05, 2012

仙臺伝統裸参り保存会撮影記2012①

20120114_04
 1月14日の朝。仙台市青葉区にある大崎八幡宮の参道は既に正月飾りを持ち込んだ人々が行き交っていた。

20120114_05
 この日は毎年、国宝大崎八幡宮では小正月行事「松焚祭(どんと祭)」が行われ、そして「裸参り」が行われる。私は近所ということもあり、よくこの日の事や画像をブログにUPしていたのだけれども、今年は御縁があって「仙臺伝統裸参り保存会」の会長さんより御声が掛かり、ほぼ制約無しで好き勝手に撮らせていただける機会を頂戴した。地元民の私としては大変貴重で嬉しいことであった。

 さて、そんな一日の話に進んで行く前に少しだけ関連するものを簡単に説明。

 大崎八幡宮は伊達政宗が仙台開府の際に現在地に移し1604年(慶長9年)に社殿が落成。祭神は応神天皇、仲哀天皇、神功皇后。由緒としては公式サイトによれば『平安の昔、東夷征伐に際して坂上田村麻呂は、武運長久を祈念すべく武門の守護神である宇佐八幡宮を現在の岩手県水沢市に勧請、鎮守府八幡宮を創祀しました。その後、室町時代に奥州管領大崎氏はこれを自領内の現遠田郡田尻町に遷祀し守護神として篤く崇敬した為、世に大崎八幡宮と呼ばれました。大崎氏の滅亡後は伊達政宗公が居城の玉造郡岩出山城内の小祠に御神体を遷し、仙台開府後仙台城の乾(北西)の方角にあたる現在の地に祀られました。この際に旧領の羽前国米沢にて代々崇敬しておりました成島八幡宮と共に祀られました。』とのことである。30年ほど前の郷土資料には源義家が田尻町に勧請した旨の記載も見受けられる。(田尻町は現在大崎市となっている。)

 社殿が安土桃山時代の建造物として国宝に指定されている。現存する権現造り神社建築物では最古のもの。華麗な後期桃山建築の代表作として有名。隣接する真言宗竜宝寺は別当寺で、大崎八幡宮が現在地に移った際に建てられている。

 大崎八幡宮で行われている「松焚祭」は正月飾りを焚き上げる小正月行事で、特に宮城県内では「どんと祭」の通称で呼び親しまれている。日本各地には同じような行事に「左義長」や「ドンドン焼き」「ドンド焼き」等の呼称があり、後者の呼称はどんどん燃える様から起きた呼び名だとも言われる。宮城地方の「どんと」は大正期に北陸地方の「とんど」を倣い定着したものとも言われている。宮城地方のどんと祭は大崎八幡宮によって始められた松焚祭様式が各地に広まったものが多いとされている。

 この日に行われている「仙台裸参り」は、元々は東北南部(岩手県)地方の農家や酒蔵の神事にルーツがあると言われている。彼の地で家内安全や五穀豊穣を祈願していた祭事の様式が、農閑期に仙台へ来ていた南部杜氏によって醸造安全を祈願する仙台の酒蔵の年中行事として嘉永年間の頃には始められており、現在では酒蔵に限らず企業や団体にも広まっている。

20120114_06
 つまり…「どんと祭」と「裸参り」は同じ日に行われているが別々の行事である。同一視する人々も少なくなく、私自身も近頃までは気にすることもなく同一的な扱いを続けてきた。ではなぜ小正月の同じ日に行われているのかという部分が気になるが、裸参りは何かを祈願するというだけではなく広くは成人儀礼の一種とも扱われており、小正月(1/15・旧成人の日)に行われていたという元服の儀に関連した由来があるのではないかと推測する。仙台の裸参りの装束は酒蔵杜氏の服装に由来するが、裸であることの意味にはもっと古来からの慣わしが関係している可能性もあると思っている。

20120114_07
 と、前置きがとんでもなく長くなってしまったが…。

 この日、旧天賞酒造跡地(厳密には天賞苑という庭園部分跡地)に在る「八幡杜の館」が「仙臺伝統裸参り保存会」の拠点となる。「八幡杜の館」は、旧天賞酒造の店舗であった建物を移設し、地域のコミュニティの場や文化活動の場として活用されている建物である。天賞苑は中島丁公園として生まれ変わり、地域の人々に親しまれるようになった。

 池も凍る寒い日。例年、どんと祭のある小正月頃になるとグッと冷え込む日が多くなってくる。

20120114_08
 午前10時過ぎに杜の館を訪れると、どうやら先客が。この日奉献されるお酒を持ってきた方だろうか?

 そんな様子を遠巻きに撮りつつ、建物を眺める。一昔前まで八幡の国道沿いにあった天賞酒造の趣きを今に残す建物。地元民としては懐かしさを感じる建物・光景である。

 そして「仙臺伝統裸参り保存会」の会長さんである谷さんにご挨拶の後、館の中に入らせていただいた。その直後…。

20120114_09
 届けられた祈願板。今回の保存会は「震災復興」を祈願する。その祈願を記したこの板は神社に納めるものである。

 「仙臺伝統裸参り保存会」は、大崎八幡宮の御神酒酒屋だった天賞酒造が移転した2005年(平成17年)を契機に発足。天賞酒造が代々続けてきた伝統的な裸参りの様式を受け継ぎ、その継承と共に由来などの文化的伝承を目的として活動している。2006年に保存会としてのお参りをスタートさせ、今年で7回目となる。

20120114_10
 祈願板を立て掛ける谷さん。

 近年から裸参りの前には、裸参りの由来や意味についての説明会が開催されているとのことで、この日も谷さんは館が開館する午前10時から準備作業をしていた。

20120114_11
 八幡杜の館1F。この期間は写真の個展に使われていたが、この日ばかりは館全体が保存会の活動拠点に変わる。

20120114_12
 同2F。八幡地区を中心とした歴史資料が展示されていた。

20120114_13
 粛々と説明会の準備を進める谷さん。静けさに包まれた館の中での谷さんの一言「いいなぁ、この時間…。」という言葉、とってもよく分かります。

 この後、保存会の活動を公式に記録撮影している地元八幡のプロカメラマンの伊藤さんとご挨拶させていただく。伊藤さんは報道・スポーツ系を中心に、ベガルタ仙台オフィシャルマガジンのカメラマンもされている御方。

20120114_14
 正午を過ぎ、地元宮城の酒が届く。今回は被災した酒蔵などにお声掛けをし、震災復興祈願に賛同される酒蔵からの奉献酒を募ったのだという。杜氏の醸造祈願から始まった仙台の裸参りならではであり、酒蔵の伝統参拝様式を受け継ぐ保存会ならではでもあることだ。

20120114_15
 保存会のメンバーも集まり始め、椅子が並べられ、裸参りに関連する小物も並べられ始める。

20120114_16
 館の表には提灯が据え置かれていく。

 いろいろと準備が進み慌しくなってきた頃、保存会の裸参りを撮影にいらした仙台在住の写真家・茅原田さんとご挨拶させていただく。横浜のご出身、カナダ在住から帰国する際に仙台に住むことにして2年半の御方で、御名刺を拝見すると著名人ポートレートから経済誌や企業広報誌、インテリア誌や車専門誌、企業や団体の海外活動の記録撮影などでご活躍されている。

 すごいなー。という一言しか出てこない(笑)日曜カメラマンの私。

 プロカメラマンの御2人のとんでもない邪魔にだけはなるまいと思いつつも、夢中に撮ってたら配慮も何も無くなっちゃうだろうなということが脳裏に過ぎりつつ。

 さて。

20120114_17
 説明会が始まった。外国人の方々の参加が目立った。仙台に住む外国人の方々には日本の風習や伝統というものはどのように感じられているのだろうか。

20120114_18
 裸参りのいろいろな小物を実際に手にとって感じてもらえる。

20120114_19
 堅苦しくない谷さんのお話で和やかに。八幡宮へ正月飾りを持ち込む直前直後に立ち寄れるほど(会場が狭いので要予約だけど)気兼ねない説明会であり、それでいて地元伝統行事のことがちょっと詳しくなれる催し。

20120114_20
 説明会が終わると、保存会としてのお参りの直前準備がいよいよ本格化する。

20120114_21
 鉦。

20120114_22
 含み紙。

20120114_23
 腰に巻く注連縄。

20120114_24
 供物。

20120114_25
 館の外、公園では予行演習が行われている。

20120114_26
 三つ巴は大崎八幡宮の神紋でもある。

20120114_27
 この日は晴れたが風が強く、冷え込みが懸念された。裸ゆえに風は耐寒温度をとてつもなく下げてしまうという。

20120114_28
 館の中では準備が進む。祈願板にも注連縄。

20120114_29
 高張提灯の質感が素敵だった。

20120114_30
 準備は進む。

20120114_31
 奉献酒も揃った。

20120114_32
 物の準備が整いつつある頃、日が暮れかけて薄暗くなり始める。

20120114_33
 付き人の打ち合わせも始まる。

20120114_34
 予行演習も本日2回目。いよいよ気持ちが昂ってくる。

(つづく)

|

« 青葉電気工業発電所跡探訪 | Main | 仙臺伝統裸参り保存会撮影記2012② »

Comments

Post a comment



(Not displayed with comment.)




TrackBack

TrackBack URL for this entry:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/155453/53902764

Listed below are links to weblogs that reference 仙臺伝統裸参り保存会撮影記2012①:

« 青葉電気工業発電所跡探訪 | Main | 仙臺伝統裸参り保存会撮影記2012② »