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October 28, 2010

定義森林軌道跡探訪記:10

 定義森林軌道跡を起点側より辿り、一度実際に見ておきたかった大きな木橋を眺めるに至った。その姿は感慨深く、地元の山間に残る歴史遺構としては大きな存在に感じられた。橋を眺め終わり、せっかく来たのだからと周辺探索を始めたところからが今回の記事であり、暫定最終章。

※この探訪記を最初から→こちら(次回予告画像)

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 本来の渡渉ポイントではない低いほうの砂防ダムを渡り、藪中の川岸を少し下流側に下ったところから斜面を上がり、軌道跡に出る。そこには橋から続く軌道跡が整然と美しい石積みの上を走っていた。なお、これまでの進行方向とは逆、今は起点側を向いて進んでいる。

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 玉石積みの軌道跡崖側。この石積みの上を木材を積んだ貨車が画像奥の方へと走り去り、橋を渡って行ったのか…。林鉄廃止直前の50年前のこの場所は、今とどれだけ違う雰囲気だったのだろうか。当時を知るようなお爺さんが定義あたりに住んでたりしないのかな…。

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 石積み上の軌道跡を起点側に向けて進み、橋の袂へと近づく。結構落石が散乱していて、柱状節理の岩盤がそんなに強固ではないということを物語る。

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 木橋の対岸へ来た。森を抜けてきた軌道が広い宙空を横切る区間。橋の袂はキノコ採り男性曰く「渡ろうとするヤツが居る」ために数年前に落とされている。それまでは地続きだったのかと思うと、その光景を実際に眺めてみたかったというのが本音。

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 この老朽化橋(元々人用でもないし…)を危険を承知で敢えてひぃひぃ渡ったぞ、というようなレポート記事が無ければね、原状のままであったかもしれない。

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 もっと大切に。遺構も。命も。

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 さて、橋の袂に別れを告げる前に辺りを見る。軌道横の岩盤壁は脆々とした雰囲気が濃くなってきている。この地域の露出岩盤には多いことなのかもしれない。

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 軌道跡を進行方向(終点側)に見る。大きな木橋から先の軌道は大倉川左岸を進むこととなるため、この後は右が山側、左が川側という位置関係になる。木橋の袂は岩盤壁から剥離した石屑や崩落岩が堆積し始めていて、フラットな路盤のままというわけではなくなってきている。

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 石積みの下には切断された橋の袂部分の残骸がまとめて置かれている。このような結果になってしまったのは残念なことだが、今ではもう仕方の無い事実。

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 軌道跡を進行方向に進むと、小さな沢がある。そこで沢登りから戻ってきた御一行と出会う。沢には石積みと支承らしき材木が残っている。小さな橋か、暗渠程度の構造物があったのだろう。

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 さらに軌道跡を進むと山側に石積みがあった。ところでこの玉石積みは軌道跡の各所に橋台や崖面壁面の補強などとして見受けられるが、結構な量の玉石を用意しなければならなかったはずである。どこで集めてきたものなのかな。まさかすぐ近くの川原だけで集めましたってことはあるまい。

 沢登り帰りの御一行より声を掛けられ、何を撮っているのかと問われ、森林軌道の名残りを撮り歩いていたと返答する。御一行の中でも年配の男性より、登ってきた沢上でクマの足跡だらけ糞だらけの栗の木が生えた場所があったという話を聞かされる。栗の木の枝がバキバキに折られていたということで、今秋の山の実りが不作で必死なクマの様子までもが伝わってくる話振りであった。

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 沢登り御一行と別れる。画像は、軌道跡より高いほうの砂防ダムへと降りる左への分岐地点。沢登り御一行は砂防ダムのほうに降りていった。軌道跡は山側からの堆積物に覆われつつ、真っ直ぐに進んでいる。この日の探索はここまでが予定。さらに奥へと進む予定ではない。が、少し時間があるので進もうかな。どうしようかな。

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 路盤には埋もれるように枕木が…。じゃあ、ちょっとだけ…。

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 …進んだ先は、軌道跡が沢の流れにガッツリ削られていた。橋が架かっていたかどうかは定かではないくらいに荒れ放題。予定していた日没までの行動時間の残りは片道で30分間分。その分だけ奥に進めるが…。ここの沢も対岸に渡るルートは確保できる感じだが…。時間があるといっても余裕までは無いし、今日の目的は達成しているし、深追いはよそう。という判断で、この沢を最後に引き返した。

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 高いほうの砂防ダムへ降りる踏み跡脇には、軌道跡の石積みが見られる。玉石積みの隙間から生え出た木もあり、軌道跡はいずれ森へと還る光景なのである。

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 石積みを正面から。この上が軌道跡。

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 高いほうの砂防ダムを渡りつつ大倉川上流方向を望む。この先、約4km強ほど奥地まで大倉川左岸を軌道跡は進んでいる。これより先はもう人家も無ければ里山と言える領域でもない。単独行をするにはリスクの高いエリアと言って良く、山道を通りすがる人さえ極めて少なくなる。山菜やキノコのシーズンが終われば、誰かが来ることを期待するだけ無駄なことという印象が強くなるエリアだろう。

 なお、今回の木橋までの軌道跡を辿った後のこと、つまりこの先の軌道跡を巡る予定は未定である。いつかは行ってみたいな…。

 そうそう、宮城県内には他に新川、漆沢、花山にも森林軌道があったという。花山の軌道跡は自動車用林道に転用されていたりもして不明瞭な部分も多かったようだが、今では岩手・宮城内陸地震でズタズタになってしまっていたりする。それぞれの軌道跡、何かの機会に一端でも見掛けるようなことがあれば、またこのブログで取り上げることもあるかもしれない。

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 砂防ダムより木橋方向を望む。木橋は特に左岸側の袂が落とされている関係で、橋のメイン部分が落橋してしまう日もそう遠くはなさそうだ。

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 さようなら。

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 癒えることのない傷口(切断面)に背を向けて、木橋を去った。

 その後、十里平へ戻る途中の沢登り御一行に追いついてしまい、いろいろまた年配男性に話し掛けられているうちに、路盤がコンクリになっているところを撮りそびれた…。

 そして十里平へ。車を停めた近くに流れる沢でゴム長靴の泥を落とし、身に着けていた装備を解除し、車を発進させたのは午後4時過ぎ。降水確率0%だった空が路面を濡らし始めていた。

 最後に。

 クワガタ採集や観察、飼育を主たる楽しみにしている私。この軌道跡は、この地域の豊かなブナ帯が切り開かれ始め杉植林地が現れ始めた歴史の古い遺物でもある。廃れもの好きとクワガタ好きが同時内包する私にとっては、と~っても微妙な感覚になる探訪でもありました。

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