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December 21, 2008

埋もれる大正期遺構探訪

 さて、やっとこの日が訪れた。降水量の少なかった昨今、晴れの天気予報、休日出勤とか歯医者とかもナシ。ちょっと寒い季節になってしまったが、例の場所を探訪するには申し分ない土曜日だ。

20081220_01 現地付近へのアプローチ入口地点は自宅から歩いて15分という場所であり完全徒歩でも行けるのだが、最初に現地の反対側に位置する山手の住宅地まで行き、ポイントの周辺を撮影することにしたのでクルマで行動することにした。そうあそこ、画像円内に僅かに見えたはず(汗)の遺構らしきモノが今回第一のダーゲットだ。

 それは、大正期に仙台市が整備した上水道送水管を山腹貫通させるための隧道を掘削するために用いた作業坑道の入口、吊橋の橋台跡みたいなものがある場所だ。青葉区八幡にある。

 現地を訪れるのは少なくとも16年以上振り。もしかすると20年振りくらいになるかもしれない。あの作業坑道、橋台跡?に、崖上よりアプローチするぞ。

20081220_04 ついでに撮影地周辺に見られる遺構的な場所を撮影。ここは仙台城築城の再に石垣用の石材を切り出した石切り場跡だ。山腹がえぐれた形をしている。私がまだ小学校に入るかどうかの頃に山火事になったことがある場所でもあって、この急斜面を利用して冬はスリリングなソリ遊びをしていた場所でもある。中腹から木々の間をすり抜けるようにスンゲー勢いで滑り落ちてきてソリが割れることもあったな…。

20081220_02 住宅地域には、城の石垣に使うには規格外だったり変に割れたりしたのだろう大きな岩が昔から至るところに転がっていて、一部が邪魔者として石切り場前に集められていたりする。観察すれば、楔を打ちいれたのだろう当時の痕跡が見受けられるのである。きっとこの岩は割り出す前に岩盤から剥離してしまい使いモンにならなくなった石だろう。

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 クサビ跡がT字型に残っている岩。

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 さて、クルマを空き地に置いていざ入山、っとその前に…。ついでだから寄り道。埋もれかけた防空壕跡だ。今では大人が入れないくらいに狭く入口が埋もれているが、私が子供の頃はもっと大きく開口していた。国道48号聖橋横、聖沢左岸にある。

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 で、こっちも防空壕跡?四谷用水関係の横坑?の洞穴。こっちも崩落が進んでいるようで、入口は封鎖されていた。やぐらの上に崩落した石が積もっている。この洞穴は中が水没しており、今まで入ったことはない。聖橋の下、聖沢左岸にある。

20081220_07 この聖橋、新橋(手前)と旧橋(中央)が存在する上に、四谷用水用の橋(奥)もあり、3本もの橋が並んでいる。

 四谷用水って、昔もやっぱり橋でこの沢を渡っていたのかな…。だとしたら木橋なのかな…。伊達政宗の時代なのだから石橋っつうことはないだろう。

20081220_08 空き地に停めたクルマに戻り、ザックを取り出す。

 なお、空き地と言っても実際は、近くにある私の実家が駐車場が無いために借地している駐車用スペースなのである。かの有名?な仙台初のハリウッドスターを生み出した家系さん所有地だったりする。

 今回の装備はクワガタ採集とかではないのでオノとかナタとか重いものはナシ。余計なものをいろいろ省いて約10kgだ。全ての物資が1つにまとめられた。

 実家のクルマが無い。どうやら親父は出掛けているようなので、断り無くジムニーを置いていく。この空き地に放置され続けていた誰かの不法投棄1BOXカーも、草むらにナンバープレートだけを残して姿を消していた。…それって誰かが車体を持ち去ったってコトか?金属売れるからナァ…。

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 国道から住宅地を登る。ここは広瀬川左岸の丘陵地でもある。振り返れば市街地を望むことが出来る。ここから上水道送水管埋設道を歩く。

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 送水管埋設道は山野の中へと続いていく。そう、ここは以前も歩いて日記に記した散策ルートである。

20081220_11 で、その時にサワガニ採りの子供たちが居た沢、ちょっと前に日記に記した水道記念館で見かけたパネル写真にあった送水管谷渡りの場所に到着する。

 ここまでは難なく到着できる。ここからがアップダウンの連続だ。そして崖っぷちへと這い降りたりしなけりゃならない…。

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 谷を渡り、例の仙台市水道第四号隧道出口に到着。ちょっと水分補給と一服…。ここまでは急坂だが階段だし足元は問題ないのだが、これからが獣道的なルートとなるのである。

20081220_13 小休憩後、すぐに道なき急坂が待ち構えている。進む目印は水道局の指標杭だ。2本の杭の下を隧道は通っている。または水道局の管理道である目印なんかだ。

 とにかくここは斜度がキツイ。その上、足掛かりが少ないのっぺりした斜面を落ち葉が覆っている。この後の崖っぷちのことも考えて、靴紐をキツ目に結び直した。踏ん張りが利いて、この斜面も多少は登り易くなった。

 序盤だというのに、足の筋肉は最近に無い労力を強いられて悲鳴を上げそう。

 そうだよな、昨今の体重増にこの荷物じゃなぁ…。荷物に衣類など含めた全装備重量は辛うじて100kgを下回っているハズのワタシ(笑)だし。

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 尾根近くで古そうな杭を見つけた。

20081220_15 さて、尾根に出て尾根に沿って少し歩けば、崖に近い土手の上となる。この土手の下、崖っぷちに目的地はある。画像の左上、遠くに見える住宅地が、最初のルート説明画像撮影にカメラを構えた場所である。

 で、土手を這い降り始める。道なんて無い。少ない足掛かりに時折ガンダムがカタパルトを滑走するようにズルルルッと滑り降りる。ここで転がりでもしたら滑落死に至るかも…。

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 多少のブッシュを掻き分け、崖っぷちを目指すと斜面なのに窪地が見えてくる。何やら不自然な地形こそが今回の目的地。到着だ。

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 土手に開口する洞穴。ここが隧道中心点への横坑だった可能性が非常に高い。隧道とほぼ同じ標高に位置するからだ。この洞穴の撮影は後回しにし、洞穴前に残る遺構に接近する。

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 さあ、崖っぷちポイントだ。コンクリート製のアーチ型が見えてくる。

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 真横へ来る。20年振りくらいなのに、あの頃と何も変わっていない。で、崖に身を乗り出して、四つん這い姿勢で転落しないようにして…。

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 ちょい前より撮影。もうこれ以上、左ヒザが左側には行き場が無い崖っぷち(汗)。ダブルアーチの開口部だが、天井が一部抜けた状態になっている。中央上部には何かを固定したのだろうか、支柱が立っている。下部のダブルアーチ中央は支柱を失い、角材で補強されている。

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 下に潜る。例の角材支柱が目前となる。よく見たら細い鉄骨も支柱になっていた。

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 内部も約20年前と変わっていないようだ。こんな感じなのである。腐食、劣化したコンクリと、ただひたすら存在してきた空間だ。

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 右側アーチ内部。すぐ先で塞がれている。奥で左側アーチ空間につながっている。

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 左側アーチ内部。半分が塞がれている。開口部は裏手の洞穴前の崩落土砂が流れ込んできている。この土砂の量は約20年前より増えた。小学生だった頃はあの隙間から出入り出来たからだ。今では子供でも無理な隙間。

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 右側アーチ内奥から左側アーチ内土砂流入部を見る。右側アーチ内には、奥に鉄筋が剥き出しの土台らしき痕跡が残る。そうか、こんなものがあったんだった…。

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 右側アーチ内より外を望む。出口向かって右にコンクリ土台があって少し高くなっている。

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 左側アーチ内より外を望む。こっちにはトタン板などが散乱している。正直、ここでホッとしていること1つ。死体とかイケナイモノが無くて本当にヨカッタ…(笑)。

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 天井には2箇所の開口部がある。これは落盤なのか、元々なのかは不明。以前よりあったものだ。

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 天井を観察すると、所々に規則的に穴があり、そのほとんどに丸木の杭が打ち込まれている。側壁にも穴はある。

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 釘が刺さっている杭を見つけた。そうか、他の杭にも釘が刺さっていた痕跡がある。もしかすると、この空間には過去に内張り板なんかがあって、それを留めるための固定杭なのかもしれないな。

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 鉄骨、鉄筋が剥き出しになるほど劣化したコンクリ。

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 左側アーチは奥ではなく入口付近に鉄筋入り土台が存在した。右側アーチは入口付近には無い。

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 アーチより崖下を望む。倉庫の屋根が見える。この崖斜面にも僅かながらコンクリ製の遺構か残骸が見受けられる。高さにすると5~6階建てくらいはありそう。

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 遠くに仙台市街地が見える。一服しながら考える。このアーチ裏の洞穴は、隧道工事の際の中央基点(以後左右へ掘り進む)へ辿り着くための横坑という可能性は高い。そしてこのアーチ内には鉄筋入りの土台がある。アーチは通路ではなく重機置き場だった可能性が高い。その重機で何をしていたかは不明だが、隧道掘削の際に生じる土砂の運搬か、あるいは…。吊橋っぽくはないかもなぁ。

 悩みながらも、アーチ上に登ることにした。小学生の頃は皆で登ったんだ。崩れまい…。角材支柱よ、よろしく頼んだ…。

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 右側アーチ内を上から撮影。

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 左側アーチ内を上から。足が僅かにカクカク笑っとるのは疲労のせい?ビビリのせい?(汗)

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 戻り際に右側アーチ内を別角度で。右側アーチの右側には小さなアーチがあって、人の出入ができそうな構造だ。まあ、ワタシもここを利用して入ったのだけど。

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 崩落しそうなコンクリアーチ上の歩行を終え、そのままこのダブルアーチとオサラバすることにした。次来ることはあるだろうか。あってもきっと10年以上は来ないだろう。特別な事情がない限り。

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 裏手の洞穴へ向かう。手前には小さくアーチ内への土砂流入をしている穴が開いている。洞穴の入口はこんもりと堆積した土砂で少し狭くなっていた。

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 洞穴内部。所々崩落している。約20年前と比べても大きな変化は無い。小学生のときは20mくらい中に入った記憶があるけれど、当時でもヤバかった雰囲気が強くて、危険を感じて最深部までは行かなかった。今回も行きません(苦笑)。

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 感度を上げてフラッシュで奥を撮影。なんかスゴイ状態になってそう…。もうこれ以上、この洞穴には太刀打ちしようが無いのでこの場より退却することにした。

 滑り降りてきた崖のような土手を必死によじ登り、尾根ルートへ生還。戻らずに先へ進む。

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 第四号隧道入口に到着。ここで大休憩を取ることにする。

20081220_43 食事の準備を進めながら、今後の行動を考える。

 このまま沢を遡って、私が既知の氷池跡を目指すか。

 ちょっと先の道の無い一帯に埋もれているという私が未知の石垣造りの氷池・氷室跡を探すか。

20081220_45_3 考えているうちに湯が沸いた。

 今回の探索にあたって、小さなヤカンが見当たらなかった。ドコいったんだろう…。仕方なく飯盒で湯を沸かした。

 で、湯を注いで…。

 またしばらく待たねば。

 考え事をリセットし、ちょっと周辺を歩いてみる。

 あ…。今気付いたかも…。

 隧道の出入口周辺のレンが積みの“目地”だ。

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 この目地全て、しっかりと凸部が造られている…。スゲー手が込んでる。大正期の建造物、職人肌の人も多かったろう。そんな人が任されたんだろうね。こういう時代に仕事したかったなぁ…。(覆輪目地というらしい。)

20081220_47 さて、今日の午後メシです。

 カップラに使った水は、特に意味は無いけど屋久島天然水です。特にカップラから変な臭いはいたしませんでした。

 クリームパンは好物なのでついでに持参。

20081220_46 結局、この第三号隧道より向こうにあるとされる石垣造りの氷池・氷室跡の探索は時間の関係で次回持ち越し。今回は既知の氷池を記録に残すということに方針決定。

 既知の氷池は岩盤を掘り下げた造りで、沢沿いにある。おそらくは石垣造りの氷池よりも古い時代に使われていたものだと思われる。

 未知の石垣造りのほうも探究心から見てみたいのだが、具体的な場所にアテが無いから時間の浪費も有り得る。探し切れなかったら疲れるだけだ。

 食事の後片付け&一服し、いよいよ沢を遡り始めることになる。

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 遡ること数分、向かって左側、右岸に石積みが見受けられる。位置関係から、きっとこれは沢の浸食から第三号隧道付近の地盤を守るためだと推測される。

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 遡ること数百m。沢にコンクリ残骸が見受けられるようになってきた。もうすぐJR仙山線線路下だろう。コンクリ残骸は線路下の沢用隧道周辺からのガレキだ。

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 見えた!あの隧道を抜けると氷池はすぐだ。

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 隧道到着。この上は土手になっていて、結構高い位置を仙山線が走っている。高架橋にしないで、沢を潜らせることにしたのだ。

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 隧道に進入する。風が冷たく感じる。身体が冷える。

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20081220_54 隧道の中央付近は川床が掘れていて、踏み外すと危険だ。深いところでは1mくらいの落差がある。

 ここへ小学生のときに辿り着いたのも冬だった。その時は川床は凍っていて、滑るし暗いし落ちそうになるしで怖かった思い出がある。

 今回も薄暗くて足をガクッと窪地に取られたので、懐中電灯を使用することにした。高輝度LED19発仕様だ。

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 隧道を抜けてすぐ、少し先の右側、沢の左岸に岩盤の崖が見えてくる。あそこの下に氷池はある!

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 左が沢、右が氷池。中央の境目は人工的に盛られた部分と天然の岩盤が合わさっている。

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 氷池到着。こここそ20年以上振りだろう。

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 この周辺は仙台城築城の際、石垣に利用する石材を切り出した場所が数多くある。この地も石切り場だとする話もあるようだが、今年亡くなった私の伯父の話では氷池だったという話である。もしかすると、石材を切り出した跡を更に掘り下げて氷池として使ったのかもしれない。

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 池脇の低い岩盤に登って撮影。沢は右手にある。この背後、近くに窪地があったので、氷室として使ったものなのかなとか思ったが、石切り場も多いしね。判断つかないや。

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 丸くカーブを描く内側。

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 岩盤は不自然な段差を多く有している。割られた跡なのだろうか…。

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 沢を挟んだ反対側の土手をよじ登って池撮り。降ろしてきた大きなザックが小さく見えます。池の左側は完全には見えていないので、もうちょっと大きい池なのだ。幅20m弱、奥行10m弱くらいの池。

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 沢と池は岩盤で隔絶されているほか、崩れかけているが石積みでも区切られている。単なる石切り場であれば区切る必要性など感じないが…。

20081220_64 とりあえず、今回の探索の最低限の目的は達成した。あとは未知の氷室跡を探すだけだ。伯父と親父があると言うんだからあるんだろうけど、道が無い場所だけに探索には時間を要しそうだ。どうなることやら。

 この後、沢隧道を戻り、左岸より山林内を抜け、K駅構内手前の線路に出て、ゴメンナサイゴメンナサイと思いながら線路を少し疾走して住宅地内へ転がり込んで離脱。きっと駅にいた人には遠くを走る私の姿が見えたかもしれない…。

 あとは一般道を歩いてクルマを回収しに行き、終了となった。まあ、コンクリダブルアーチも、送水管隧道横坑も、岩盤氷池も、約20年前と比べても著しい崩壊が無い状態で、また今再び赴けてヨカッタよ。

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Comments

こんばんわ。
仙台市水道創生期の隧道について調べていて、こちらのサイトにたどり着きました。第三号、第四号隧道のそばまで行けるとは知りませんでした。大変興味深く拝見しました。
ところで、この連休中に青下水源地周辺を探索していて、旧大倉発電所跡にたどりつきました。
割と簡単に行けるのですが、ネットで調べた限りでは他に紹介しているサイトは見つけられませんでした。
もし、ご存じでなければブログに写真をアップしていますのでご覧ください。

Posted by: lot49snd | May 22, 2012 at 19:51

lot49sndさん、初めましてこんばんは。
旧大倉発電所、跡地が現存しているとは思ってなかったです。現発電所に潰される形で無くなったものと思い込んでいました。GoogleMapで確認してみると確かにありますね!画像も拝見させていただきました。素敵な遺構ですね。近いうちに探訪してみようと思います。
第三号隧道出口・第四号隧道出入口付近へは、八幡と葛岡の二方向からアクセス可能ですが、前者からでは最寄に駐車スペースがありません。後者からであれば少し距離は長くなりますが墓園内に駐車可で、隧道まで辿る道すがらに(この記事の場所とは異なる)氷室跡や氷池跡もあります。
また、貴サイト掲載の「導水及送水路図」から、第三号隧道の入口位置を推定できました。GoogleMapで確認してみたら怪しい構造物が山中に存在しているようです。ここも調べてみようと思います。

Posted by: Sakazuki | May 23, 2012 at 20:27

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Tracked on May 23, 2012 at 23:42

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