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August 17, 2008

空を這いずって…

※.映画「The Sky Crawlers」を観劇しての私なりの感想や解釈を記載しています。ネタバレに相当しますので、今後映画館やメディアソフトにて観劇するご予定の方はご覧にならないことをお薦めいたします。

 先日観に行ったスカイクロラ(以下SKと表記)。押井監督の言葉通り「まっさらな」感覚で観ることにしたのだった。プロモーションDVD他からの予備知識は多少あったものの、基本的には原作にも触れていないアタマであったので、詳しいことは分からない状態であった。

 まず客観的な感想。

 オープニングの構成が圧倒的且つキルドレたちの生きる世界観の第一の見せ場として素晴らしかった。息遣いと無線交信。そして轟音と共にレシプロ戦闘機がドッグファイトする場面へ。劇パト2のオープニングにも似た展開があったが、パト2では地に足据えたRPG(ロケット推進擲弾:対戦車無反動砲とか)や機銃の応酬(一方的にヤラレただけか?)で、また装甲車的レイバー中のモニターを通じた静の危機的緊迫感が表現されていたのに対し、SKでは大空という大空間で圧倒的な動と戦闘機のキャノピーのみを介して見る目前の世界、完膚なきまでに撃墜され生きるか死ぬかの状況を、美しいCGと迫力あるフレーミング、カメラワーク、サウンドで激しい臨場感を得るものとなっていた。

 殲滅というに相応しい状況を残し、雲の大海下へと去っていく敵機。それがストーリーの鍵を握る機体スカイリィであり、ティーチャーと呼ばれる存在。そしてそのまま、雲海の中を飛行する一人称視点でオープニング曲とテロップが流れ始め、圧倒的な動から静へと世界が変わり、オープニングの終わりと共にカンナミが兎離洲基地に赴任(着陸)するシーンへと繋がって行く。

 最近の押井アニメでは、オープニングは一転して場面変化で曲が始まるような別の構成を採り、世界観の説明を違った構成で表現することがほとんどだったように思われるが、SKでは一貫した流れの中で構成されており、余計と言えるものはなかった。しかしこれが、空と地上を繋ぐ意味、キルドレの位置する世界の説明になっている。戦闘後は雲しかない空の中。そして帰すべき基地が見えてくる。それだけだが、充分過ぎるくらいだった。もうこれだけで「観に来てヨカッタ」的心境。

 その後はストーリーに深く入り込んで行き、ハイクオリティーなセルアニメとCGアニメの融合やらサウンドやらを堪能していくことになった。最初はやたら服が擦れる効果音が気になったが、これは静まり返った指令棟や宿舎棟内だからこそ際立ったというだけで、以後は気にならなくなった。言い直せば自然に感じてきた、からなのだろう。

 で、原作を知らない私が観て、直後にいろいろ考えることが出てきたワケですヨ。

  • ティーチャーの経歴、ロストック社を辞めた経緯
  • キルドレの正体、取扱い
  • クサナギスイトの娘の存在(ミズキ)

 大きいところでこんな感じ。

 ティーチャーの存在については、キルドレたちにとっての絶対的な存在として、敵として、不落の存在として扱われている。元々は同志であったという。そしてキルドレではなく大人の男だとも。押井監督曰くキルドレたちの「父親のような存在であって」という位置付けの存在。実際、劇中終盤にカンナミが「ティーチャーを撃墜する」と言って単騎で挑んでいくのだが、それはテロップでのセリフであって、耳で聞くと「I kill my father」と聞こえている。これの意図するところでもあるのだろうか。この絶対的な父親的存在との関わり方がキーなのだろう。詳しい経歴は原作小説シリーズを読めば分かると思われる。

 キルドレの存在は、不老で、戦死か自殺他殺といういわゆる事故死でしか死なず、死後も何らかの形でリセット?されると過去の記憶をほとんど失ってしまうが戦闘機の操縦と普段のクセなど身体に染み込んだ感覚などは高いレベルに維持されて再生(産)されており、遺伝子制御剤の開発途上で誕生した存在なのだという。不老と死因の因果関係は分かるとしても、リセット?の真相や誕生秘話には謎が多い。劇中でティーチャーに撃墜される白髪のユダガワはリセット?されてアイハラとして再登場するが、同じ白髪でも顔が少し違うことから基本的には同一人物ではないことが窺える。つまり完全なクローンとは少し違う。遺伝子制御剤との関係を考えれば、その薬剤を特定条件で投与あるいは特定条件で投与後の管理を行なうことで、別人を基礎に同一人物にもなるようなキルドレを反復生産?しているのだろうか。原作を読めば更に詳しく分かるのだろうが…。撃墜された人間を強化せずに反覆生産?する理由は、戦争を終わらせないためでもあろう。ただ、繰り返されている存在、改良を施さない消耗補給品ということなんだろう。

 スイトの娘と噂されるミズキの存在。スイトは「あの子を見ていると時々自分が嫌になる」という。その理由も定かではないのだが、ミズキの父親の存在に根拠があるのか、単に母親として生きられていない自身に根源があるのか、劇中では明確ではない。そもそも娘だということ自体が噂として取り扱われているが、火の無いところに何とやらで、娘であることはほぼ間違いない。ミズキの父親は誰なのか?という部分が大きなカギを握っているのかなぁ…。カンナミの前世って線もあるだろうけど、私的にはティーチャーじゃないかな?って観終わって思った。ティーチャーが辞めた理由とか、スイトがガス欠寸前でもティーチャーに挑んでいった?こととか、何か関係があるのかなぁ、と。

 原作シリーズを読み解けば、更に世界観を深められるのは間違いないだろうし、劇場本作を観返したときに新たな気付きもあることだろう。

20080817_01

 って、やっぱ全巻買っちゃった…。小説などほとんど読まない自分がこの5冊を読破するのはいつになるのか?(爆)

 スカイクロラは、時系列的にはシリーズ最終に当たるらしい(左からの順らしい)。でも、原作者はドコから読んでも良いとのことらしい。

 じゃ、時系列的に読みますかね。「ナ・バ・テア」から。

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